教育から未来を育てる

フューチャールーツ・エデュケーション

私たちについて

私たちは、アイスランドを拠点に活動する教育者・青少年育成団体です。現役教員たちが立ち上げた草の根的な組織として、公的助成金や寄付などをもとに、教員研修、ユースキャンプ、そして国際交流プログラムを実施しています。アイスランド国内の他に、イギリス、スコットランド、ポーランド、ハンガリー、ドバイ、ガンビア、南アフリカ、そして日本へ活動の輪を広げてきました。これからも新しい出会いと発見を追い求め続けることを目標にしています。

フューチャールーツ・エデュケーションが生まれた背景

フューチャールーツ・エデュケーションは、ある日教員同士がコーヒータイムに交わした一つの会話から生まれました。

「サステイナビリティを教育に取り入れるようにって指導されているけど、本当に理解している先生っている?」              
「自分で体験した事のないものを教えるのって難しいしね。」

「でも私たちが受け持っている子どもたち、あと10数年後には社会を担う大人になってしまうよ。このままじゃ何も変わらない。」

世界ではこれまで、数えきれないほどのサステナビリティに関する会議や政策が打ち出され、スローガンや啓発キャンペーンも日常的に目にするようになりました。それでもなお、地球環境や社会の課題は複雑さを増しており、より迅速で実効性のある行動が強く求められています。

では、その未来を担う子どもたちに日々向き合っている教育の現場では、どうでしょうか。教育者は、サステナビリティを実践的に教えるだけの知識やスキルを十分に身につけられているでしょうか。そして子どもたちは、自ら持続可能な社会をつくっていくための学びや経験を得られているでしょうか。

そんな問題意識の中で、「それなら自分たちで始めてみよう」と、小さな一歩を踏み出しました。大きな組織でなくてもいい。本当に意味のある活動を続けていれば、きっと必要とされ、共感の輪は広がっていく——そんな想いから、フューチャールーツは誕生しました。

団体名には、「未来を育むには、まず確かな“根”を育てることが大切」という、教育に対する私たちの信念が込められています。

私たちのビジョン

私たちは、「教員の力こそが、サステイナビリティ教育の未来をつくる」と信じています。

サステイナビリティ教育は、自然環境だけでなく、社会・経済・文化など、さまざまなつながりを学ぶものです。
それを子どもたちに伝えていくには、まず教える大人たち自身が、しっかりと理解し、自信を持って実践できることが大切です。

私たちは、教員の専門性と心身の健康(ウェルビーイング)を支えることで、次のような力を育てることを目指しています:

  • サステイナビリティを幅広い視点から理解する力

  • 子どもたちの考える力や行動する力を引き出すスキル

  • 日々の授業に自然に取り入れていく実践力

そして、教員同士が学び合い、支え合えるつながりをつくりながら、サステイナビリティが教育の中で「特別なもの」ではなく、「あたりまえの視点」として根づいていく未来を描いています。

私たちの取り組み

教員向け教育研修

教育者のエンパワーメント

持続可能な未来を共に創る

Empowering Educators for a Sustainable Future

フューチャールーツ・エデュケーションでは、教員がサステイナビリティを教育現場に取り入れ、自信を持って実践できるよう支援するプログラムを展開しています。環境問題だけでなく、社会・経済・文化といった広い視点から、持続可能性について深く理解し、授業に落とし込むための知識・ツール・マインドセットを提供しています。

私たちの研修では、教員自身が「批判的に考える力」や「主体的に行動する力」を育て、それを子どもたちに伝えられるようになることを重視しています。加えて、同じ志を持つ教員同士がつながるプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティ(PLC)や、勤務時間外も活用できる継続的な学習機会を通して、教員の成長を継続的にサポートしています。

また、単なる知識の伝達にとどまらず、教育の中で「サステイナビリティをどう“自分ごと”として扱うか」「どうすれば毎日の授業に自然に組み込めるか」といった、実践に活かせる視点と工夫を提供します。心と身体のウェルビーイングを大切にしながら、教員一人ひとりが教育の中で希望ある未来を描き、子どもたちの力を引き出せる存在になることを目指しています。

教員向けエコキャンプでは、持続可能な暮らしや環境とのつながりを体験的に学べる機会を提供しています。自然の中での実践を通じて、五感を使って感じ、考え、行動する力を育てるプログラムです。

ユースキャンプ

若者の学びと成長を支える

キャンプ・プログラム

Youth Camps for Sustainability and Regenerative Futures

私たちはこれまで、ユースキャンプを通じて若い世代がサステナビリティやレジリエンス(しなやかに生きる力)、そして自然や社会を再生していくための視点を育み、未来をつくる担い手として歩み出すことを応援してきました。

アイスランド・サステイナビリティキャンプは、若者がリジェネラティブ(再生的)な教育に主体的に関わりながら、国際的な視野を広げられるキャンプです。

また、Adventures For Students(アドベンチャーズ・フォー・ステューデンツ)との共同プロジェクトでは、イギリスのブラッドフォード高校の学生を毎年夏に受け入れています。学生たちはアイスランドの教育機関で屋外ボランティア作業をしながら自然との共存や自立心を学び、異文化体験をします。

近年では、南米のGEN(グローバル・エコビレッジ・ネットワーク)や国際的なパートナーとの連携により、私たちの活動の場は世界へと広がりつつあります。

私たちの目指すのは、次世代の若者たちが自らの力に気づき、希望を持って未来を描き、行動していけるような社会を育むこと。地域に寄り添うキャンプから国際交流キャンプまで、これからもさまざまな形で若者たちの学びと成長を支えていきます。

国際交流

教育を通じた

国際交流と多文化理解

International Exchange and Intercultural Learning

私たちは、教育を通じて国や文化を越えたつながりを育むことを大切にしています。これまでに、イギリス、フランス、スペイン、ポーランド、リトアニア、ウクライナからの教員をアイスランドに迎え、現地の教育機関での視察や学びの機会を提供してきました。教育の現場を直接見て、意見を交わし合うことで、互いの知見を広げる貴重な交流の場となっています。

また、近年の紛争などにより避難を余儀なくされた子どもたちに向けて、心のケアや居場所づくりを目的としたキャンプ旅行も企画。多くの方々の寄付やボランティアの支援に支えられて実現しました。

さらに、アイスランド国内に暮らす外国にルーツを持つ子どもたちのための母語教育機関(Móðurmál – the. Association on Bilingualism)と連携し、多国籍の子どもたちが集まる交流キャンプも開催。言葉や文化の違いを超えて、子どもたちに自己肯定感と新しい発見を提供する環境づくりに取り組んでいます。

そして、アイスランド南部・セルフォス市で日本語・文化講座を不定期に開催しています。アイスランドでは首都以外で日本の文化に触れられる機会は少ないため、地元コミュニティに大変喜ばれました。メンタルヘルス向上に貢献していると評価され、自治体から助成金によるサポートを頂いた例もあります。

教科書にはない、世界の学びを体験しよう

ここから始まる教育の冒険

FUTUREROOTS EDUCATION